密教の修法(護摩)について


密教の基本的修行に、「四度加行(しど-けぎょう)」というのがある。真言密教の最高の秘法を受ける儀式である伝法灌頂(でんぽうかんじょう)に入壇(にゅうだん)する前提として、一段と力を加えて、十八道(じゅうはちどう)・金剛界(こんごうかい)・胎蔵界(たいぞうかい)・護摩(ごま)の四種の修法のことで、これは空海が師の恵果阿闍梨(けいか-あじゃり)の教えに従って定めたものである。


護摩法はその一つ。護摩とは、サンスクリットのホーマを音訳して書き写した語である。もともとインドでは紀元前二〇〇〇年ごろにできたヴェーダ聖典に出ているバラモン教の儀礼で、紀元前後五世紀ごろに仏教化したという。護摩の炉に細く切った薪木を入れて燃やし、炉中に種々の供物を投げ入れ、火の神が煙とともに供物を天上に運び、天の恩寵にあずかろうとする素朴な信仰から生まれたものである。火の中を清浄の場として仏を観想する。護摩壇に火を点じ、火中に供物を投じ、ついで護摩木を投じて祈願する外護摩と、自分自身を壇にみたて、仏の智慧の火で自分の心の中にある煩悩や業に火をつけ焼き払う内護摩とがあ
る。


護摩
護摩の功徳  護摩とはパーリ語でホーマーといってものを焼くと言う意になります。世俗的な願望の成就をもって目的とした原初時代の護摩は、いくつかの段階を経て、念誦法におけると同じく、護摩法も発達して四種法の上に、世間法の成就とともに 出世間法に及んで悉地を求むるに至った。更に単独行で念誦法によって悉地を成就せざる時は、進んで護摩法を修することに より、希願を成就し得るという。

護摩法に四種法を示す、即ち「息災」には、息災を求めー切鬼神を除き、聡明長寿 を欲し、解脱を求るのである。「増長」には、一切の財宝薬草等を求め、法を成就す る事を求める。「敬愛」には、一切天龍鬼神人非人等の怨敵を回心歓喜せしめ、諸仏 の護念加持を求むる。「降伏」には、一切悪神鬼及び三宝人天を損する者、多くの罪 業障重の衆生の調伏し難きを降伏せんと欲する。この四種法の護摩があるが現在普段行われている護摩は、「息災」の護摩法である。

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不空三蔵訳の『七倶抵仏母所説准提陀羅尼経』に四種法があります。

息災法とは、罪を滅し、障りを転じ、災害を除き、鬼魅疾病、疫病、国難、水旱不調、虫損苗稼、五星本命を悉く皆除滅し、煩悩解脱を求むる。

     息災法(そくさい-ほう)…外的な災難・障害や煩悩・罪障などを除去します。
        災害のないことを祈るもので、旱ばつ、強風、洪水、地震、火事をはじめ、
        個人的な苦難、煩悩も対象となる。

        息災法では、北に向かって白い円形の壇とか護摩炉を設け、始める時
        刻は日没後。修行者は白い衣と袈裟を着るのが正式とされています。

増益法とは、延命、官栄、伏蔵、富饒、聡慧、聞持不忘、薬法成就、金剛杵等成就及び地位神通を証し、速やかに無上菩提を成ずる。

増益法(そうやく-ほう)…世間的な幸福や修行上の徳を増進させるものです。
単に災害を除くだけではなく、積極的に幸福を倍増させる。福徳繁栄を
目的とする修法。長寿延命、和合(縁結び)もその対象であった。

敬愛法とは、もしー切の人の見る者をして歓喜心を発さしめんと欲す、諸々の怨敵 あって不饒益の事を作すに、皆回心歓喜せしめ、諸仏の護念加持する。他を敬い愛する平和円満を祈る法。

愛染法…日本には平安初期に伝えられ、広く信仰を集め、愛染法が行なわれた。
縁結びの明王です。

降伏法とは、五無間を犯し、方等大乗を謗じ、仏性を殷滅し、君主に背逆し、正法 を惑乱する、是くの如きの人に於いては降伏法を作すべし。結果として念誦法よりも護摩の修法の方が、功徳多く力用強しという説が大勢をを占め ていることである。


調伏法(ちょうぶく-ほう)…怨敵からの災難打破や自己・他人の煩悩を打破ります。
降伏(ごうぶく)法、破壊法、折伏(しゃくぶく)法とも云います。

怨敵、魔障を除去する修法。悪行をおさえることが目的であるから、他の修法よりすぐれた阿闍梨がこれを行う。 調伏法は、己や他人の煩悩を打ち消すものでもあり、憑きものを除去したり防護したりする「九字」は護身第一のものですが、邪なものから身を守りつつそれを退散せしめるという意味では調伏のものでもあります。密教調伏法の基本は護摩手法でして、忿怒な面相の五大明王を崇拝の対象とする「五壇法」というのがその代表です。
調伏法は障害もあるのであまり行われない。

修験道では密教調伏法の他に「九字法」「金縛法」「摩利支天鞭法」「封じ込法」などがあります。修験道でも、禅を組む様に自らの心身を固め、人々に敵意を持つものを降伏させるのです。

 [九字法]
 いわゆる「九字」の印契を結び「九字」を切ります。その修験山や修法により、「九字の大事」や「六甲秘呪」などとも云われます。

 [金縛法]
 代表的なものは「大聖不動明王金縛秘法」で、印や呪いにより悪霊を金縛りにします。やはり五大明王を崇拝対象とし、不動明王と同化し、三十六童子、八大童子に悪霊を絡め取らせます。

 [摩利支天鞭法(まりしてんむちほう) ]
 怨敵の名前を書いた紙を鞭で叩きます。一般人の目には異様な光景でしょうね。

 [封じ込法 ]
 人形に怨敵の名前を書いて竹筒などに封じ込めてしまいます。
 修験道での「九字」は、山岳や手法によって異なりますが、主として摩利支天を本尊として行います。九つの文字の印を結んだ後、九字を唱えながら刀印で一般的には横五、縦四の空を切ります。これを「九字を切る」といいます。

[大威徳明王護摩の調伏法]

[愛染明王の一夜護摩の修法]
愛染明王を本尊としその真言と印、そして明るい赤の衣と四角形の炉を用いて護摩を行うと愛染明王の一夜護摩の修法となり、敬愛や恋愛の達成、異性の獲得に驚異的に効果がある。この場合不動護摩の本尊段の乳木108本のところを108の赤い蓮の花にかえて用いて修法する。尚、四角の炉を三角の炉に変えて調伏を行うと敵は修法者にさからえなくなり言うがままになってしまうと言われている。


[太元帥御修法]
太元帥明王を本尊に行う敵調伏の最大の秘法。


[野狐放ち法]
狐憑きに陥った人間から狐の霊を解き放つ除霊法。


[大黒天法]
七福神の一人の大黒天を修する法。財を招き福を呼ぶとされる修法です。


[歓喜天秘法]

歓喜天すなわち聖天を本尊とする供養法です。七代の運を一代で使い切るという秘法。


[悪人調伏の法]
悪人を呪詛する法なり。


[弘法大師正傳船乗法]
護身法如常、外五古印にて「捨悪慈善乗船渡海智見龍宮皆令成就」と唱えて、内五古印にて東西南北中央五方に向かい「おん・あうん・しつち・そわか」「おん・ばろだや・そわか」と唱える。この法は弘法大師の直伝にて船に乗るときにおこなえば難船なし。空海自身も長安に遣唐使船で航海したときにこの法も行なったそうです。


[大黒天一時千座法]
法をおこなうと開運自在なり。この法は何人にても行い易く貧しきものをして速やかに富ましむる法です。


[生霊死霊除金縛法]
身体を清浄して不動尊を信心し行なうこと。病人霊障を除くに用いるべし。


[走人足留法]
走人(家出人・行方知れず)の足を止めて直ちに家に帰らす法なり。


[諸病悉除薬師如来法]
眼病難産其の他諸病悉除の秘法なり。


[三密観法]
神仏に向かいてこれを唱えれば利益広大なり。


[真言秘密蟲封法]
この法を用いれば如何なる蟲も全治すること間違い無し。


[神仏開眼大法]
神仏開眼の時この法を用いれば福徳絶大なりの真言秘密の大法です。


[観音菩薩の六秘法]
色々な観音の中でも最も霊験の高い千手観音の秘法が一番である。。
六秘法の印と真言を常に唱えれば七世の宿命を知ることができ、刀剣も害するにあたわず、
永劫地獄の苦を受けず、善神が常に加護し、流行疫病は直ちに平癒する。


[孔雀明王の延命持仙秘法]
秘中の法として一流をなしている。修験道山伏派にては最もこの法を尊重しその呪力に依りて
持明仙となり延命長寿することを得て、又深山幽谷に住するときはこの呪に依りて一切の障害を免れ極めて安穏を得る。また修行怠らざれば水上歩行、飛行自在を得るものである。


[水天龍王の秘密修法]
祈雨、止雨、海中求宝、海上歩行、航海安全等。 


[摩醯首羅天の男女招呼秘法]
この法は単独に修法されしことなきも、男女招呼、特に女を得んとする時に用いれば大なる効果を見るぺし。


[鬼子母神の現身髑髏使役秘法]
財宝を求むる法、愛敬を得る法、夫婦和合の法、治病の法、除毒の法、安産祈願の法なども全て前記の印明を結誦することによって成就するものなり。また人を呪うときは髑髏を供え大呪印契をもって加持すること二十一遍、又は壱百八遍にして、密かに相手の宅内に置けば凄まじき呪の効果があるであろう。


[茶吉尼天神変不可思議秘法]
自分の命と引き換えに行なわれるため一時封印されていたこともあります。それほどこの行法は善悪共に効験あまりに凄まじきゆえ秘中の秘として扱われている大秘法なのです。