仏教や仏像のことについて詳しくない人でも不動明王の名前なら聞いたことあるんじゃないでしょうか。
人のことを例えて「不動明王のように・・・」と言うと、強そうで怖そうなイメージですよね。さて、その怒った顔の不動明王です。


目を剥いて牙を剥きだし激怒した表情が特徴的。でも、怖い顔をしているからって「戦いの仏」と誤解しないでくださいね。



不動明王はどんな障害や災難があってもそれを打ち砕き、ねじ伏せ、おとなしく仏道に従わない者に対しては、ずくでも救済しようとする超熱血な仏さま。


つまりは優しい慈悲のこころをベースにして、「心を(姿も)鬼にして」働きかけている姿なんです。

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梵名には「動かない」のほかに「山」という意味があるので、山岳信仰において修験道(しゅげんどう)に励む山伏の守護者ともされています。


こんな怖い顔の仏さまですが「お不動さん」なんて呼ばれて親しまれてもいます。


不動明王の外観も時代と共に当初からは変わってきました。平安初期の不動明王は、両眼を正面に見開き、前歯で下唇を噛んで左右の牙を下に向けたわりと写実的な表情です。


不動明王が手に持つ剣は倶利伽羅剣(くりからけん)と呼ばれていて、本来は剣に龍が巻きついて 炎を纏ながら龍が剣を飲み込もうとしている姿をしています。


不動明王は倶利伽羅竜剣で人々の煩悩や邪気を断ち切るという不動明王の働きや、力強さの象徴とされています。


不動明王は、元々はインド神話の三大神の一人であるシヴァ神の別名とされ、その梵名はアチャラナータと言います。その意味は「動かない(不動)守護神」です。日本へは空海によって持ち込まれ、密教の最高位である大日如来の化身とも言われています。



普段は柔和な大日如来が、優しさだけでは通用しない人々を救済するために、あえて怒りの形相をしているのです。真言宗や天台宗、日蓮宗などの宗派および修験道で広く信仰されるようになっていきました。


邪悪な相手には徹底的に厳しく、人が間違った道へ進もうとした時には、正しい道へと戻れるように諭してくれる存在であり、全国各地ではお不動さん、または不動尊と呼ばれ親しまれています。

迷いの世界から煩悩を絶ちきり、仏の道を教えてくれる尊い存在なのです。



そして、不動明王は五大明王の中心的な存在でもあります。五大明王とは四方の方角を守る明王で、中央は不動明王が、東には降三世明王、西には大威得明王、南を軍荼利明王、そして北には金剛夜叉明王が位置しているのです。


また、宗派によっては金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王が五大明王として数えられることもあります。その使命は仏教へと民衆を帰依させるため教え導くことです。


不動明王は現世利益が得られる仏として知られています。現世利益というのは、生きている間に得られる利益のことです。そこで、どのような利益が得られるのかを紹介します。



煩悩退散

煩悩は、人の心を悪の道へと誘います。その数は108もあるとされ、仏道の邪魔をします。不動明王に祈願することで、煩悩を断ち切ることができ、悪しき部分を燃やし尽くしてくれるのです。



厄除け

不動明王の剣は、あらゆる邪悪なものを打ち砕くことができることから、厄除けに効果があるとされています。



学業成就

不動明王の明という文字はサンスクリット語で知識や学問を意味します。勉強や仕事に対する技術を高めたいと願う時に祈願すると、ご利益を得ることができます。



身上安全

自身の身の安全を祈願することで、そのご利益を得ることができます。



立身出世

仕事で成果を出したい時や、世間で認められたいという時にもご利益があるとされています。



商売繁盛

不動明王は商売に対してもご利益が多いとされています。



修行者守護

不動明王は仏道を修行する者を常に守護し、障害となるものを滅ぼすとされています。



健康祈願

不動明王を祀る寺によっては、健康または病気治癒に効果があるとされています。



戦勝

戦国時代に武将のなかでは、不動明王に祈願し勝利をおさめたという者がいたことから、戦勝のご利益があるとされています。


呪殺祈願
なによりも恐ろしいのが呪殺祈願になります。

自殺か事故死など21日間に変化が起こります。